糸巻き ヘッド ネック

糸巻 弦巻 ペグ チューナー

 マンドリンのヘッド部はその構造や重量などが楽器の性能に影響を与える。糸巻きをペグと呼ぶのは機械式になる以前に現在のヴァイオリンやウクレレと同様にテーパー型の木製のつまみを使っていた事による。マンドリンの糸巻きはナポリタイプとローマンタイプの2種類がある。
 ナポリタイプはギアの部分を金属または木で隠したタイプでイタリアの楽器に多い。ローマンタイプはギターと同様の溝付きヘッドでドイツのマンドリンに多い。ローマンタイプの方が弦交換はやりやすい。また弦の巻き取り方向がナポリタイプのように捻れないため良いとも言われる。カラーチェでは最近ローマンタイプも作っている。
 ヘッドはネックに対し、ある程度の角度が付けられている。これによって弦がナットに押し付けられて安定し、またテンションバランスを整える事ができる。ローマンタイプは角度が多く付けられる。

 シャーラーのペグは湾曲したヘッドにも使用できる設計に加え、左右それぞれのネジ歯車機構とストリングポストの高さが調整できる機能となっている。ナポリタイプの場合でストリングポストの穴位置を変えることで弦外れ防止やテンション調製が出来る。

ギアマシン

リバースギア

 ギヤマシンヘッドにはツマミとストリングポストの回転方向の関係が現在普及している一般的なマシンヘッドと逆のリバースマシンヘッドがある。これはヴィナッチャやエンベルガーといった小型のヘッドを持つオールド楽器によく見られるタイプであり、ナットからストリングポストまでの距離を長く取れることや、ヘッドの長さを短くすることができるといった利点がある。ナットからストリングポストの距離を大きく取れると1弦(E)、4弦(G)のサスティンにプラスの影響があり、また、弦へのダメージを分散し軽減することができると言われる。また、ヘッドをコンパクトにでき、軽量化が可能。

 図はロッコーマン社のサイトに載っているドイツ ルブナー社製マンドリン属用リバースギアマシンヘッドと通常のマシンヘッド。宮野マンドリンM-1やM-3bis、M4-bisなどはリバースギアを採用している。
  ヘッドの重さに関しては重い方がいいという場合もある。ギターではフェンダー社から「ファットフィンガー」というヘッドに取り付ける重りをパーツとして売っている。これを付けると低音は引き締まり、高音は明瞭になると言われる。マンドリンの渦巻きヘッドやエンベルガーヘッドはそういった効果があるのかもしれない。

加工精度

 糸巻きは機械であり加工精度が悪いと、ギアのバックラッシュ(遊び)やストリングポストのがたつきが大きい。日本の後藤ガット(GOTOH)やシェクター製のパーツは加工精度が高いことで知られている。ギア比は14:1が多い。
ギターではギア比を18:1に高めたもの、ギアのバックラッシュを少なくしたタイプ(GOTOHリブリコート)や弦がずれないよう巻き付けないで調弦できるロック付きのペグ(GOTOHのマグナムロックなどのロッキングチューナー)が開発されている。

弦の巻き方
 糸巻きに弦をたくさん巻き付けると弦の遊び(スリップ)が増えてピッチが安定しない。スリップを止める弦の巻き方として、ギブソンでは「ギブソン巻き」(マーチン巻き)というのを推奨している。これは、弦を穴に通し、余った部分を巻く向きと逆方向に回し、弦の下を通し引っかけて、そのまま引っ張る方法で、弦巻きは1~1.5回で済む。

ヘッド

ヘッド形状

 ヘッドは平らなものが一般的だがヴァイオリン型(渦巻きヘッド)やエンベルガー型と呼ばれる先端部が四角いヘッドもある。平らなヘッドでも先端に向かって薄くなっているのが多い。

ネック 竿

ネックサイズと形状

 ネックのサイズや形状は演奏の際の運動性とネック反りの起きやすさなどに関連する。ネックのサイズはナット幅(nut widths)で28mmから32mm(1 3/16~1 1/4インチ)程度。
 一般的なボールバックのマンドリンのネックは第1フレット(ナット部分)で幅30mm高さ23mm程度。9フレットあたりで幅36mm、高さ31mm程度が標準的。
 エンベルガーはV(三角)ネックで細いが、ボディとの接合部は大きくなっていてネック起きを防いでいる。

 図はフラットマンドリンの場合で、6種類に分類されている。表面をローズウッド、マホガニーや鼈甲でカバーする事もある。これは見た目の良さを求めたことであり、音の良さとは逆になる。表面の滑りがいいのは演奏しやすい。野口のArtistシリーズは三角ネック、宮野は丸みのある三角ネックとなっている。

 マンドロンチェロやマンドラなどでエボニー(黒檀)を補強材として入れることもある。これはスカンクストライプなどと呼ばれている。半分のネック材を上下に合わせることでネックの反りを防ぐこともできる。しかしながら製作精度が低かったり接着が甘かったりすると、逆にネックが動いたりする。また端材に近い材を使用することで、コストを削減する事も出来る。
 アコースティックギターやフラットマンドリンでは金属のトラスロッドを入れている。ネックが反った時にトラスロッドを動かすことで調整ができる。(図はMusiKraftより)

ネック反り

 弦の張力に対するネックの強度バランスが悪い場合、過剰な温度、湿度にさらしたり、弦を張ったまま長く放置した場合にネック反りが起きる。
 指板面が水平より凹形に曲がった状態を「順反り」、凸形に曲がった状態を「逆反り」と呼ぶ。曲がった状態はヘッド側からか駒側からで、指板両端の角の部分を通して見て確認できる。順反りになると指板全体の弦高が高くなり、逆反りになると特にローポジションでフレット打ち(弦の共鳴振動が指板に当たって発生する雑音)が目立つようになる。
 新品の楽器は一年位でネックと表面板が安定してくるので、その時点でネックの反り具合、弦高等を確認することが必要。
 ネックの反りは弦高に反映されるため、弦高の状態に違和感があったらネック反りを確認する。
 クラシックマンドリンでは軽度の棹の反りの場合、弦高調整や打ち込むフレットの締め具合で調整する。大きく反っている場合はフレットを抜いて反った指板面を削るなどの調整をする。

ジョイント・指板・フレット へ)