マンドリンの形態

マンドリンの形

 日本のマンドリンアンサンブル・オーケストラではラウンド(ボール)バックのナポリ型と呼ばれる楽器が主流を占めている。大きさは全長62~65cm、幅19~20cm、厚さ15cm程度。サウンドホールは40mm×70mm~85mm程度の楕円形または変形のもの、小さな穴のいくつか開いているものもある。駒からブリッジまでの弦長は33cmから35cm程度である。

マンドリンの素材
 材料は表面板がスプルース(トウヒ、ドイツ松)、ボディーはローズウッドやメイプル(楓)の細幅リヴを接ぎ合わせてある。ネックはマホガニー、指板は黒檀、マホガニーやローズウッド。ピックの当たる位置にガードプレートとしてローズウッドや鼈甲などが使われ、これらを膠で接着している。フレットは真鍮や洋白(alpacca)、ステンレスなど。糸巻きの形では糸ねじがギターのように後ろに出ているローマンタイプと横に出ているナポリタイプがある。
南洋材であるマホガニーや黒檀は乱伐により希少品となり、ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)はワシントン条約の規制品となっている。

演奏姿勢

 ラウンド(ボール)バックマンドリンは通常座って右足を左足の上に組むか、足台を使って演奏する。胴が丸いため滑りやすく、滑り止めを使うことが多い。ただし、長時間使っていると塗装表面を痛めることがある。また、抱え込んだような演奏姿勢は音がこもる。

 

 調弦はヴァイオリンと同じであり、弦長も33.5cmとヴァイオリンの32.4cmより若干長い。ただ、1コース2本ずつの複弦となっており4コース8本の弦を用いる。指板はラウンドバックタイプでは平らになっているが、フラットバックタイプではやや山形にアール(R)をつけたタイプが多い。調弦はヴァイオリンと同じく低い方からG-D-A-E。ただしヴァイオリンと違って指板にはフレットがあり、弓ではなくピックを使って演奏する。

米国でのマンドリン合奏の歴史
 米国でも1900年前後はマンドリン音楽が人気で当時はボールバックのマンドリンが主流であった。その後ヴァイオリン製作をしていたギブソン(Orville Henry Gibson 1856-1918)が、ヴァイオリンの 構造をマンドリン製作に応用してフラットマンドリンを製作した。ブルーグラス・ミュージックにはこのフラットマンドリンが使われている。その後、ロイド・ロア(Lloyd Allayre Loar 1886-1943) がさらに完成度を高め、究極の製品といわれるフラットマンドリンを完成させた。このギブソンF5のマンドリンはヴァイオリンにおけるストラディバリウスと同様な地位を占め、その後多くのフラットマンドリンはこのF5を模して作られている。米国のマンドリンアンサンブル・オーケストラではフラットマンドリンが一般的となった。

  なお、南米で主に使われているマンドリン(バンドリン)はフラットバックで4コース8弦が一般的だが、ペルーやエクアドルには3複弦の12弦、または高音弦のみ3複弦の10弦となっているバンドリン(マンドリーナ)なども見られる。

ラウンド(ボール)バックとフラットバック 2系統のマンドリン
 一般的にクラシック系やイタリアなどのマンドリンオリジナル曲にはラウンド(ボール)バックのマンドリンを利用し、ブルーグラスなどポピュラー系の音楽にはフラットマンドリンを使う事が多いが、クラシックを主に弾いているオーストラリアのMarissa Carrollはギブソンのフラットマンドリンを使っている。また、イスラエル出身のマンドリン奏者Avi Avital、イタリアのAntonio Calsolaro、ベネズエラ出身のRicard Sandoval、ロシア出身のDave Apollonなどもフラットマンドリンを使っている。

子供用楽器

 ヴァイオリンには3/4、1/2、1/4、1/8、1/10、1/16など子供用の分数ヴァイオリンというのがあり、3,4歳から練習をすることが出来るが、マンドリンでは残念ながら子供用の楽器は用意されていない。1970年代には比留間絹子による小学生のマンドリン教育が存在し、幼児用、子供用サイズのマンドリンも製作されていた。