マンドロンチェロの形態

形態としてフラットバックとラウンドバックの2タイプがある。低音部の音を豊かに鳴らすためには容量の大きいラウンドバックが有利といえる。ラウンドバックをマンドロンチェロと呼び、フラットバックのタイプをマンドチェロと呼んで区別している人もいる。

 

米国のマンドリンアンサンブル・オーケストラではマンドリンと同様にフラットバックの楽器が利用され、一般的にマンドチェロと呼ばれている。米国のフラットバックマンドチェロはギブソンのF5を大型にしたような形状やギター型、ブズーキ(BouZouki)型がある。音は日本で使われているマンドロンチェロよりアコースティックギターに近い軽い音だ。

 

マンドロンチェロのサイズは全長99~100cm、胴の厚さはフラットタイプで10cm、ラウンドタイプで18~19cm、ハーフラウンドというやや薄めの(2.5cmから3.5cm薄い)マンドロンチェロもあり、シャロウボウル(Shallow Bowl:薄いボウル)と呼んでいる。

薄めのボディ(シャロウボウル)は抱え易いのがメリットといえる。

一般にラウンドタイプの種類はディープボウル(Deep Bowl:深いボウル)、スタンダードボウル(Standard Bowl:普通のボウル)、シャロウボウル(Shallow Bowl:浅いボウル)、スーパーシャロウボウル(Super Shallow Bowl:とても浅いボウル)と区分している。

 

弦長は通常61cm、短いものでは松島のショートが56.7cmだが、ロングネックの62~64cmやヴィオロンチェロとほぼ同じ68cmというのもあるようだ。現在ヴィオロンチェロでは弦長が695mmに統一されているが、マンドロンチェロは製作者によりバラツキがあり、標準化されていない。

 ネックへのボディの接合部分は12フレットが多いが11フレットや10フレット接合もある。カラーチェのリュートモデルノや最近のマンドロンチェロでは14フレットまたは15フレット接合もある。14、15フレット接合はハイポジションが弾きやすいが、胴の容量が少なくなり低音を響かせるには不利となる。そのためボディが太めになっている。

マンドロンチェロのフラットバックとラウンドバックの音の違い

 九州大学 芸術工学部 音響設計学科 平成25年度の卒論「20.マンドロンチェロにおいて胴体の形状が放射音に与える影響について」に研究結果が述べられている。

ここにおいて、

 1.ラウンド型はフラット型に比べて入力アドミタンスが大きい。(振動しやすい)

 2.ラウンド型の音は、倍音成分がフラット型に比べ豊富である。

 3.フラット型は音の減衰が早い。

  音が20db下がるまでの時間はラウンド型が2.6秒なのに対してフラット型は

1.8秒と0.8秒の差があった。

などの違いが明らかにされている。なお、ここでいうラウンド型とフラット型は日本のマンドロンチェロで比較しているようだが工房や型式・型番は不明。楽器の個性もあり結果にばらつきもあると思うが、参考になる。

リュートカンタービレ(Liuto Cantabile)

 ラファエレ・カラーチェが20世紀初頭に5列10弦の、リュートに似せた楽器リュートモデルノを製造し世界各地に演奏旅行をしたことが歴史的に知られている。カラーチェはこの楽器を従来のリュートと区分するためリュートカンタービレ(Liuto Cantabile)と呼んでいが、日本ではマンドリュートとか5弦チェロなどと呼んでいる。

 5コース10本の弦でマンドロンチェロのA線の上にE線がある。日本で製作されているマンドリュートは弦長で570mmボディは浅くて弾きやすいハーフラウンド(シャロウボウルShallow Bowl:浅いボウル)が主流。

ハイポジションが楽にこなせるように15フレットでボディとジョイントしているものが多い。

リュートカンタービレは従来マンドリンアンサンブル・オーケストラではほとんど見られなかったが、2010年代から人気が出ているようだ。

リュートカンタービレの弦長はマンドロンチェロと同様の57cm程度。楽器の材料はマンドリンと同様の木材が使われる。

E線は他の弦と響きが異なり、倍音成分の多い音であり、マンドラのE線より金属的な音となっている。

 リュートの教則本としてはカラーチェのものが知られている。これは第1部から4部に分かれており、作品番号85のパート1~4で78ページある。これによれば運指は第1指、第2指と短2度(半音階)をとる。これはヴィオロンチェロと同様の運指になっていて、マンドロンチェロの教則本として利用できる。

マンドロンチェロの教則本

 ヴィオロンチェロではウェルナーの教則本が有名だが、マンドロンチェロの教則本は山口吉雄による教則本、ビックフォードの教則本(1913年ギブソン社)、カラーチェによるリュートカンタービレのための教則本(全4巻)がこれまでに出版されていたが、現在市販されていないため、学生のマンドリンアンサンブルではウェルナーのヴィオロンチェロ用の教則本を流用しているところもある。ポジションなどの運指法は参考になると思われる。カラーチェによるリュートカンタービレのための教則本(全4巻)はWebサイトからダウンロードできるので必要な人は利用すると良いだろう。

http://www.free-scores.com/download-sheet-music.php?pdf=68036

マンドロンチェロの弦

調弦は低い方から C,G,D,A であり、弦は全て巻弦

ヴィオロンチェロにおいてもC線の低い音を出すには楽器のサイズは小さいとも言われているが、マンドロンチェロでは更に小型となっているため、音は出にくい。

 また、小指で押さえる場合に複弦の間に指が挟まりやすく、f(フォルテ)などが制限される。このためC線は1本弦の方がよいという人もいる。G線、D線は比較的良質な音で響きも良い。

オプティマ赤のゲージ(太さ)は

A:0.022 D:0.034 G:0.051 C:0.073(インチ)

綠は研磨した弦で

A:0.022 D:0.034 G:0.050 C:0.073(インチ)

となっている。赤とは合金の比率が若干違うようだ。

ダダリオのEJ78によるとゲージは

A:0.022 D:0.034 G:0.048 C:0.074(インチ)

また、テンションはA:13.9 D:14.7 G:12.8 C:12.6(kg)となっている

なお、この弦はラウンドバックのマンドロンチェロ用となっている。