基準音程と音程の劣化

基準音程

 基準音程のA=440は1939年にロンドンの国際会議で440と決められたもので、イギリスやアメリカでは440もあるようだが。最近は日本をはじめ442が多くなっている。ヨーロッパでは445など、もっと高いオーケストラもあるようだ。
 1939年以前やバロック時代は様々なピッチが使われていた。古楽器による演奏ではバロックピッチ呼ばれるA=415を使ったり、フランスバロックではA=392を使っている。また、最近のロックバンドでは半音近く下げることもある。ロックミュージックで使われるエレキギターのエフェクターに「コーラス」や「ハーモナイザー(ピッチシフター)」があるが、これはピッチを微妙にズラして音がコーラスのように豊かになる効果を狙っている。エレキギターではチョーキング(ベンディング)もよく使われる。
グロッケンシュピールやシロフォンなどの鍵盤楽器は最近A=442で作っているのが多いようだ。
 和楽器での三味線は唄の伴奏が多いため、歌い手に合わせて調整することもあり、基準音程というのはあまり考えない。演歌の「こぶし」は一つの音の中で微妙に高低を付け表情を豊かにしている。雅楽ではA=430が本来の伝統的なピッチだが、笙などが西洋音楽と競演する場合は442に合わせた楽器を使う事もあるそうだ。

  十二平均律がヨーロッパで考えられたのは1636年、一般に広がり始めたのは1849年のショパンあたり、十二平均律の特性を生かした初めての作曲家はクロード・ドビュッシーからと言われている。日本の伝統音楽、インド音楽、インドネシアのガムランなど、世界の民族音楽は様々であり、マンドリン合奏の演奏会にはクラシック音楽、マンドリンオリジナル音楽、ポピュラー音楽や演歌など様々なジャンルの音楽を取り上げることがある。音楽を演じる上で音程は実際に弾いてみて、聞いて美しいかどうかが大切なことは言うまでもない。

 

弦張力と音程の劣化

 マンドリン族は金属弦が通常8本あり、張力が強い。そのため、弦の巻き方が悪いと演奏中に音程が低下しやすい。また長期の演奏による経年劣化を起こし易い。特に駒にかかる力が表面板を陥没させ、正しい位置に駒を安定させることが出来なくなる、これを防ぐために通常は表面板に折り山があり、しっかりした力木で表面板を支えるようにしてある。しかしながら、表面板は薄く、駒は小さい方が音は大きく聞こえることも確かである。表面板が陥没した場合には修理は困難になる。一部の業者で大きな駒に付け替えることを薦めているのは表面板の陥没を防ぐためと思われる。強い弦張力によりネックも反りやすい。ネックは一本棹と接ぎ棹の2方式があり一本棹の方が強力で経年劣化しにくいといわれるが、指板の種類や厚さ、ネック材の種類、継ぎの方式、補強材の使用などによっても異なる。

 数年の使用で音程が不安定になる楽器もあり、美しく聞こえる良いイントネーションを追求することが困難となる。音程の劣化した楽器でのアンサンブルは聴くに堪えないと、マンドリン合奏は大編成に向かないという人もいる。

 

 本来、木製楽器は長期間使用することで木質が硬化し、いわゆる「エージングにより性能が上がる」のだがマンドリン族の楽器で長期間にわたり音程が合い、マンドリン合奏を楽しむためには、こういった楽器としての特徴を知り、楽器を健康な状態に保つことが大切である。
 マンドロンチェロは製作者の努力により性能の高い楽器が出来つつある。これに応えるようにマンドリンオーケストラでの地位の向上が認められる。また、マンドロンチェロの独奏も聞かれるようになっている。しかしながら現状の合奏では低音のC線の音に雑音の聞こえることが多い。