曲目解説

 マンドリンアンサンブル・ヴォールテンペリーレンが演奏会や練習で取り上げた曲などを解説したもの。2022年現在、35曲ほどだが徐々に追加の予定。

「遠く響き渡る鐘の音とともに帝都長安の夜が明ける。今日は遠いローマから絹を求め派遣された使徒の一団が帰るのである・・・」これは鈴木静一作曲の交響幻想曲”シルクロード”Op.50に記載されている文の出だしである。
 このように鈴木静一は作品の解説を随筆のように書き留めてあるので、内容を理解するのに役立つ。中野二郎はマネンテに関しての研究など多くの文献があり、他にも尾崎譜庫での解説やマンドリン音楽に熱心な数少ない調査研究者がインターネット上に掲載しているものもある。しかしながらマンドリン関係の作者や作品に関する著書や記録は多くない。

Web上での誤解
 ラヴィトラーノの「」に関して赤道直下のアルジェリアで、雪は見たことがない、との説や「ローラ」は歌姫ローラモンテスの数奇な運命を描いた、またその生涯をたたえた曲である、などとの解説が見られるが、調べてみると違うようだ。間違った理解は変な演奏表現となってしまうだろう。ちなみにラヴィトラーノの生活していたアルジェリアのボーヌ(現アンナバ)は地中海沿岸の町で北緯37度。日本の宇都宮あたりと同じで街並みはパリに似ている。年間の気温の変化は 8°Cから 30°Cで東京に近い。

ヨーロッパの歴史と音楽

 西洋絵画や音楽にはギリシャ神話や聖書の物語を題材としたものがある。たとえば、アマデイの海の組曲はギリシャ神話を題材としている。L.コーエンのハレルヤには旧約聖書にある古代イスラエル王国二代目の王であるダビデの話、CATSのメモリーはモーセの律法のひとつである申命記の話が背景になっている。イタリアやフランスなどのマンドリン曲にはヨーロッパの歴史的な出来事をテーマとしたものも多い。(図はヨルダン川からカナンの地を眺めるモーセ)

 作曲家の生きた時代や境遇、作品のテーマとその背景、エピソードなどを知ることは作品の理解に役立ち、また曲のストーリー展開を考える事は演奏の表現を豊かにもする。なお、ここでの曲の解説やストーリー展開はヴォールテンペリーレンとして調べてみた結果であり、調査不足や独自の解釈もある。引用する場合には注意していただきたい。

 これまでの演奏会でのパンフレットに掲載した簡単な解説。
 トリングロット(ラヴィトラーノ)、3つのスペイン風舞曲(ラコム)、マドモアゼルポルカ(メッツァカーポ)、ミヌエットとガボッタ(アマデイ)、その他ポピュラー曲など。

マンドリンアンサンブル・ヴォールテンペリーレンでは現在、一緒に弾いていただけるマンドリン、ギター、コントラバス奏者を募集中です。是非お問い合わせからご連絡下さい。